対話集


「たくろ」さんとのエルビスプレスリーに関する映像をめぐってのミクシイにおいての対話

なかなかの内容なので、御本人の御承諾を受けて。
ワタシメは、ミクシイネーム「Telec」です。


爆音エルヴィス 全体に公開
2008年07月16日21:20


エルヴィスを聴く。
彼の曲でヒットチャートナンバーワンになったもの30曲を集めたCDで、何年か前に出たものだが、改めて聴いてみたのである。
オリジナル音源をリマスターしていて、エルヴィスの声も生々しさが増している。爆音で聴くとシビレる(笑)。

こうしたロックンロールのオリジネイターを聴くようになったのは実はわりと最近のこと。それまで聴かなかったのは、私のなかで形成されてきたビートルズ史観といったものが邪魔していたからだ。
史観というと大げさに過ぎるが、要するにビートルズの初期のアルバムを聴き、彼らが演奏したロックンロールのカヴァーヴァージョンより、彼らのオリジナルのほうが何倍もいいじゃないかと思ったことにより、私の中でビートルズ以前、ビートルズ以後で深い断絶が形成されてしまったというわけだ。

中学生の頃から不思議に思っていたのは、ビートルズがアルバムごとに進化し、様々な音楽の要素を吸収し、録音技術や機材の発達とともに実験的なサウンドを試みていったにも関わらず、もともとは彼らに大きな影響を与え、先進的だったはずのチャック・ベリーはいつまでも「ジョニー・B・グッド」であり、エルヴィスはフリンジのいっぱいついた衣裳でディナーショーをやり、観客の女性が差し出したハンカチで汗をぬぐうなんてことをやっていたということだった。

そんなわけで、私はロックンロールはビートルズを生んで死に、ビートルズはロックンロールに進化の概念を与え、のちにそれをレッド・ツェッペリンがto be a rock and not to rollとして言語化することになった、などと渋谷陽一のようなことを考えるに至ったわけなのだが、このことが長い間、私をロックンロールから遠ざけてきたのである。

何年か前、ポップ・ミュージックの歴史をあるていど概観したいという思いがあり、こうしたロックンロールのCDやソウル・ミュージックのCDなどを買い漁ったことがあった。そのときは資料的な意味で音源を持っていたいという気持ちのほうが強かったのだが、実際にCDでチャック・ベリーやボ・ディドリー、リトル・リチャード、そしてバディ・ホリーやエルヴィスを聴いてみて、今までの考えは見事に粉砕されていった。ロックンロールというのは最初から完成されていた音楽で、いわばサメのようなもので、進化する必要がない音楽だったのだ。とはいえ、ロックンロールとビートルズをつなぐミッシングリンクも発見できた。それがバディ・ホリーで、彼の後期の音楽にはロックンロールをより発展させていこうとする試みがなされていた。

で、エルヴィスであるが、初期の代表的なロックンロールばかりでなく、イタリア民謡やドイツ民謡なども歌ってしまう無節操さはあるにせよ、その圧倒的な歌唱力の前にはすべてがどうでもよくなる。ほんとすごいわ。

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Telec | 自分のコメントを削除する 2008年07月16日 23:55

これは、ラスベガスのライブですね。DVDを持ってます。

エルビスは、「ショー・ビジネス」の人。
ビートルズは、「ロック」のアーティストですね。

面白いです。
クラプトンの「クロスロード」というDVDを見ると、もっと面白いですよ。
「アート」ですね、ああなると。

たくろ 2008年07月17日 01:28
この頃のエルヴィス、昔はかっこわるいと思ってたんですが、今見るといいですね(笑)。この曲はレコードよりもライヴのほうがテンポアップしてて好きです。ベースもノリノリですしね。この曲はカントリーとゴスペルをうまく融合させた名曲だと思います。演奏時間6分のうち4分くらいは同じことの反復なんですが、ゴスペル的なコーラス隊のせいもあって、圧倒的な昂揚感があります。

ロックンロールのアート化というと、イギリスのミュージシャンたちですね。ピート・タウンゼント、ジミー・ペイジより先にヴァイオリンの弓でギターを弾いたエディ・フィリップス、もちろん、ジョン・レノンやエリック・クラプトン。あるいはシド・バレットやロバート・フリップ、そしてデヴィッド・ボウイに至るまで。
彼らの多くがアート・スクール出身ということも関係あるかと思いますが、音楽だけじゃなくてヴィジュアル的なことも含めてトータルなコンセプトを打ち出していくやりかたですね。そういうなかで異色だったのはミック・ジャガーで、彼は多分、ビジネスモデルとしてのロックバンドというのを早くから考えていたと思うんですね、まあ、ロンドン経済大学出身ですし(笑)。ブライアン・ジョーンズがいなくなってからストーンズは企業体になったと言ってもいいと思います。だから40年以上も続いているんだなと。

で、アメリカの場合はやはりショービジネスの土壌があるので、そういうなかでロックンロールのアート化を進めようとしたビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンは様々な軋轢のなかで苦しむことになったわけですが、その一方でヒッピー文化を背景にジェファーソン・エアプレインやジミ・ヘンドリックス、ドアーズが相次いで出てきたり、アンディ・ウォーホルがらみでヴェルヴェット・アンダーグラウンドが出てきたりして、アメリカでもロックのアート化が進んでいったという流れですね。私はずっとこのあたりの音楽を聴いてきましたので、エルヴィス的なものは受けつけなかったというのもあったんですが、人間変われば変わるものだと思います(笑)。

「クロスロード」見てみます。

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Telec | 自分のコメントを削除する 2008年07月17日 14:07

クリームに入るまで、「売れること」を出来るだけ避けてきていた??・・・ってな感じで、語ってましたね。誰だったかなぁぁぁ。

 後、マザーズ・オブ・インベンションとか、西では、グレートフル・デッドとか・・・。
ファッグスなんてのもその亜流で出てきてましたよね。

「クロス・ロード」では、タウンゼントやキース、バディー・ガイとかが、クラプトンについて語りまくってましたね。・・・それが、また面白いですね。

イギリスでは、マンフレッド・マンや、グラハムボンド・オルガニゼーーションなんかも面白いですね。私的には、フェアポート・コンベンションなんか、イギリスのカントリーバンドがとても興味深かったですが・・・。

ベルベット・アンダーグラウンドについては、たくろさんの方が御存知ですよね。

今でも、ジャック・ブルースはイギリスのピーターブラウン(作詞)との活動を続けてるんですかね?

ブライアンフェリーを中止にしたロキシー・ミュージックなんかについては、御存知ありませんかね?私、個人的にはクリス・スペディング・・・好きなんですが。
 なんか、イギリスのディーン・パークスって感じで・・・。いわゆる、スタジオ・ミュージシャンですよね。昔、来日した時に、インタビューさせてもらいました。

http://www.ne.jp/asahi/cloudland/abe/Colections.htm
そのときの写真がHPに載せてあります。
お時間あれば、見てやってください。


でも、たくろさんがエルビス・・・ってのも、なんかいいですね。
「サスピシャス・マインド」という曲ですよね。
なぜ、エルビス・プレスリーのこのDVDをたびたび見るかというと、バックのギターのジェームズ・バートンなんです。
資料が、あまりない人で、貴重なんです。

アメリカのカントリーギター(エレクトリック系)の生みの親と言われてまして、ヴェンチャーズのノーキー・エドワーズのお師匠さん・・・てのも、たくろさんなら多分ご存知だと思うんですが、「チョーキング」ギターの産みの親とされてますね。

ライトゲージ弦のない時代に、バンジョーの弦を一弦に張って、一弦づつずらして張ってチョーキングを生み出した人なんですが・・・。

バートン→ノーキー・エドワーズ、エイモス・ギャレット、ジム・メッシーナ、アルバート・リー
・・・なんて感じの系図を個人的にはイメージしてますけど・・・。

でも、ご存知ですね。
ロック博士ですね、ホント。

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たくろ 2008年07月17日 19:56

サイト見ました。クリス・スペディングといえば「ギター・ジャンボリー」ですね。それからジャック・ブルースのソロアルバムでのプレイですね。ロキシーはあまり聴いてないんです。ブライアン・イーノはそこそこ聴いておりますが。
いろんなミュージシャンと会っていてうらやましいです。とくにロイ・ブキャナンとも会っているというのは。

私もいちおう、テレキャスターを弾くので、テレキャスターの達人にはどんな人がいるのか調べていくなかで、ジェームズ・バートンやエイモス・ギャレットを知りました。CDを買ってじっくり聴いたことはないですけど。私にとってカントリー系は未知の世界ですね。その超絶技巧の世界をのぞいてみたいと思いつつ、あまりのすごさにギターを弾くのがいやになりそうな気がしてためらっていたりします。

Telec | 自分のコメントを削除する 2008年07月17日 23:17
はい、超絶技巧のカントリーの世界もあるのですが、そちらは最初から無理なので無視して(もちろん、聴くことは聞きました。)カントリーの碇石見たいなのは探りまくりました。

ソウルバンドやっていて、刻みばかりに飽きてきた時に、やはり出会いがありました。

カントリーシンガーのエディー村田さんのバッキングを、そうですね・・・1年やったかな?
この人は、唯一、日本人でタダ一人、カントリーミュージックの殿堂である、グランド・オープリーでのフェスティバルに殴り込みをかけた人で・・・。
 ・・・今は、どうしてらっしゃるんですかね?消息聞きませんが・・・。

「ハンク・ウィリアムス」「バック・オーエンズ」「ペリー・コモ」なんかの、いわゆるC&Wのスタンダードをやりました。
 ・・・で、バックはDs、Bs、Gtだったんですが、エディーさんがステージ降りちゃうこともあって、そんな時は、クラプトンの「レット・イット・グロー」をワタシメが歌ったりしてました。

「ロギンズ&メッシーナ」「CSN&Y」の曲なんかもカバーしてましたね。

いわゆる、「超絶技巧」はケイジャンミュージックのスタイルで、速弾きを要求されますね。
いくつかのパターンがありまして、その辺でお茶を濁してました。


ロイ・ブキャナンについては、ギター弾く仲間がみんなで騒いでいたので、首突っ込んでたら、ロッキンF書いている頃に、来日しましてね。

 自分で名乗りを上げて、出版社の中で唯一の「ブキャナン通」の嘘をつきまして、全部のライブについて廻りました。
 サウンドチェックの時に、ステージに一緒にあげてもらったり、楽屋でギター見せてもらったり、人生観までかたりあっちゃったりして、大変でした。

とても温厚な叔父様でしたよ。
まさか、死んじゃうなんて・・・ね・・・。

そう言えば、デイブメイソンが来日したころのギターの、ジム・クリューガーのアルバムも、CBSの担当の方からもらいました、
 聞いてみたら、カントリー系の速弾きの曲が何曲か入ってましたよ。
 もっとロックかと思って聞いたんですがね、椅子から落ちそうでしたね。
まるで、アルバート・リーでしたよ。

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たくろ 2008年07月18日 01:45

カントリーのスタイルはギターを弾くうえでやはりベーシックなものなんだなとこの歳になって気づいてきました(笑)。でも振り返ってみると、ビートルズでもジョージ・ハリスンのギターはカントリー系ですよね。リッチー・ブラックモアのコピーをしてて、ビートルズなんかちょろいもんだと思って、いざ弾こうとすると意外に弾けなかったなんてことがありましたね。そのときに気づくべきだったんでしょうけど。

アメリカ人は普段やってる音楽は違ってても、カントリーやブルースは身体にしみついてる感じですよね、同じようにペンタこねくりまわして弾いてても日本人は演歌っぽいテイストが出てきちゃったり。

ロイ・ブキャナンについては、無名のままでいたほうが彼にとっては幸せだったんじゃないかという見方もありますね。晩年は売れるレコードを作らなきゃならないってことで、本意ではないこともやってたようですしね。まあ、本当のところはよくわかりませんが。

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Telec | 自分のコメントを削除する 2008年07月18日 02:29

そうですね。
ジョージのギターは難しいですよ。普通のカントリーとは違ったところもありまして、やはりビートルズですね。
アレンジ固めていく過程で、ポールの意見が反映されていったのかも・・・・。
ポールは、すごいギタリストです。
サムシングのギターは、間違いなくポールですよ。

ペンタ・・・・
 そうですね、演歌の明るいバージョンになってしまいやすいですね。

ロイさん・・・・
 そうかもしれませんね。まあ、あまりやりたいやりたくないは関係なかったかもしれません。
 「ジェフ・ベック」が余計なこと言うから・・・なんていう意見も出てましたよね。
 ・・でも、本人は音楽のスタイルは変わってないように聞こえますね。

 その辺については、話せなかったです。
 なんか、ロイ・マジックにかかって、あのホワッとした暖かい雰囲気に呑まれたって感じでしたよ。一言一言をかみ締めるように話す人でした。

 プレーを聞いてみて、「ああ、この人はどんな曲調でもおんなじ弾き方だな」って感じ。
感じるままに弾く感じ・・・。
 サイドワークというより、歌の部分はほとんど弾かず、ギターソロになると弾いてくる。

 ちなみにあの時は、ピービーのアンプ(もしかしたら、フェンダーのバイブロラックスだったかな〜〜ぁ??)を後ろ向きにスピーカーボックス(どこのSp.だったか忘れましtけど・・・)の上に置いてましたね。
 ・・・いや、スピーカーボックスはタダの台だったかもしれません。
 
後ろ向きにしてパワー全開で弾いてましたね。
いい音してましたよ。

 ブロードキャスターの、リアPUをディマジオに取り替えてるんだ・・・って、言ってましたよ。

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たくろ 2008年07月18日 18:28

ロイ・ブキャナン、どの曲でもおんなじというのは確かにそうですね。泣き叫ぶようなピッキングハーモニックスですね。でもこれは私の大好物です (笑)。気持ちいいです。ピッキングハーモニックスにボリューム奏法をあわせてアタックを消したりもしますけど、そういうのも面白いですね。私はテレキャスターではボリューム奏法はしませんけど、手が開かないし、無理してやると痛いので(笑)。

ロイ・ブキャナンはディマジオだったんですね。で、やっぱりアンプ直結だったんでしょうか。その場合もアンプの中身はいじってたんでしょうか。

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Telec 2008年07月18日 23:27

Amp直でしたよ。未だに覚えてます。
当時はまだそういう時代でしたね。
エフェクターといっても、MXRのフェイズやダイナコンプくらいで・・・。

ロイさんは直にグサッと・・・・。

Ampnoのカスタマイズは・・・?、どうでしたかね?
そういうのって、まだまだ世の中に「市民権」取れてなかった時代ですね。

彼みたいに、バスでアメリカ中を旅して、その先々の店に置いてあるAmpでプレーしちゃうこともあっただろうし・・・。

「トラベリング・バンド」が主流の時代だし。

今の、日本の人たちは、その辺の情報ばかりが先行しちゃってるみたいですね。
それは、それで技術の発展が音楽状況に貢献してきているんで良いことには変わりないんですが・・・・。

「ブルーズ・ブラザーズ」の一番目のヤツ見ました?・・・か?
ああいうのって、マジに日本では考えられないんですが、アメリカの音楽シーンの「根っこ」を構成する世界ですよね。

ギター一本持って、旅先の店にあるアンプを使ってギグする。

まあ、もちろん、ヒットが出てからは状況も変わったと思うんですが、それでも、結構その辺は変わっていなかったりしますよね。本人の音楽との係わり合いのスタイルだったりして・・・。

バンドのバス持っている人って、結構ヒット出した人ぐらいだったり・・・。


僕らもそうですが、今でこそライブハウスや飲み屋(クラブとかパブとか)にアンプってあるわけで、それを使う・・・・、これ「仕事人」の常識ってとこ
ありますよね。

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たくろ 2008年07月20日 00:39

アンプ直結なのに多彩な音色を出すというのがロイ・ブキャナンですが、でも実は足もとに秘密が……というような話があったら面白いと思ったんですが、やはりアンプ直結なのですね。

ギター再開して便利だなと思ったのは、やはりインターネットで、ギターに関するあらゆる情報を得ることができます。もちろん情報があんまり多いとそれに踊らされてしまうということはありますね。私の場合、しばらくは踊っていてもいいかなと思っていますが。

機材にばかりこだわって肝心のギターを弾くというところがおろそかになってしまってはいけないですよね。ピックアップはどれがいいか、アンプは、セッティングはって、いろいろやってますが、ギターをちゃんと弾いて自分の気持ちいい音を出せればなんでもいいじゃないかと思います。弘法筆を選ばずですね、早くそうなるように練習します。

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Telec | 2008年07月20日 00:50

たくろさん・・・、このやり取り・・・って物凄く内容が濃いですよね。
 どこかに保存して、アーカイブしておきたいと思いませんか??

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たくろ 2008年07月20日 15:26

エルヴィスの話から始まって多岐にわたりましたね。いろいろと面白い話ができて楽しく、また勉強になりました。ありがとうございます。
保存については、そうですね、Telecさんのサイトにアップしていただけるなら嬉しいですね。